前回(中編)では、測定値や測定方法について解説しました。
今回(後編)は、実際の測定データを見ながら、小規模ネットワークの性能問題について考察します。

 2022年02月07日 公開  2024年01月24日 更新

有線LANと無線LANの比較

有線LANと無線LANの処理能力を比較するために、FTPコマンドを使って1GBのファイルを別マシンに転送し、それぞれの処理時間を測定しました。
また、転送元のPCで同時にWeb会議を行った場合についても測定しました。

PC ネットワーク Web会議 FTP
1回目
FTP
2回目
FTP
3回目
通信速度
(中央値)
s s s Mbps
デスクトップPC 有線LAN
(CAT.6)
無し 9.38 9.12 9.12 877.19
有り 9.30 9.63 9.53 839.45
ノートPC 無線LAN
(IEEE802.11n 2.4GHz)
無し 133.11 125.06 120.73 63.97
有り 137.81 129.38 149.49 58.05
ノートPC 無線LAN
(IEEE802.11ac 5GHz)
無し 36.53 39.59 41.51 202.07
有り 50.27 52.05 45.74 153.70
まずWeb会議を行わない場合についてですが、
有線LANでは、CAT.6の規格である1GBpsに対して90%近くの性能が出ています。
IEEE802.11nでは、アンテナ1本の最大通信速度である150Mbpsに対して40%程度、
IEEE802.11acでは、アンテナ1本の最大通信速度である433Mbpsに対して50%弱の性能です。Web会議を同時に行った場合は、Web会議を行わない場合に比べて、75~95%程度の処理能力になります。
PCの処理能力(CPU)にも影響されていると考えます。

無線LAN電波強度の影響

無線LANの電波強度による影響を調べるために、通信を行うPC間の距離を変えたり、WiFiルータの信号強度を変えて測定しました。

「距離」欄に「近」と表示しているものは、同じ机でPCを隣り合わせて測定したものです。
「距離」欄に「遠」と表示しているものは、PCを7m程度離して測定したものです。

特に電波を弱めるために、信号強度を低くすると同時に距離を遠くして測定しています。

距離 信号強度 Web会議 周波数帯 FTP
1回目
FTP
2回目
FTP
3回目
通信速度
(中央値)
s s s Mbps
100% 無し 2.4GHz 120.70 108.18 118.21 67.68
100% 有り 2.4GHz 117.37 119.67 108.64 68.16
15% 無し 2.4GHz 145.09 157.27 140.30 55.14
15% 有り 2.4GHz 391.11 295.32 243.31 27.09
100% 無し 5GHz 41.42 40.08 40.34 198.31
100% 有り 5GHz 51.44 47.99 58.17 155.52
15% 無し 5GHz 39.69 39.44 40.19 201.56
15% 有り 5GHz 60.86 49.48 48.47 161.68
周波数帯が2.4GHz(IEEE802.11n)の場合において、信号強度の影響が大きく見られます。
5GHz(IEEE802.11ac)においては、信号強度の影響が見られません。

測定した弊社オフィスでは、他の部屋の無線LANによる影響が大きいと考えられます。
そうだと仮定すると、この測定結果は一般的に言われている通りの結果です。
2.4GHzは電波が遠くに飛ぶ半面、干渉を受けやすいと言われています。電波が弱い場合においてその性質が見られます。
5GHzは障害物に弱いですが、干渉を受けにくく、安定的に通信できると言われています。電波を弱めた場合においても測定結果に影響しませんでした。

Vistumblerで電波強度を測定した結果が上の図です。

2.4GHzでは、信号強度を弱めた場合と、距離を話した場合において、それぞれ電波強度が10dbm程度(10分の1程度に)弱まっています。
2つを組み合わせるとさらに弱まっているのが分かります。

5GHzでも、信号強度を弱めた場合と、距離を話した場合において、それぞれ電波強度が10dbm程度弱まっていますが、2つを組み合わせても電波強度がさらに弱まることはありませんでした。

その他

  • 無線LANしか搭載していないノートPCに、USB-LANアダプタを接続して有線LAN通信したところ、700Mbpsぐらいの速度が出ました。
    5GHzの無線LANに比べて3~4倍の性能です。
  • iperfを使い、回線に対して8割程度の負荷をかけた状態でも、Web会議の快適度にはあまり影響しませんでした。
    このことから、Web会議の快適度には回線よりもPCの負荷が影響しやすいと考えます。