MicrosoftアカウントとAzure ADアカウント

MicrosoftアカウントとAzure ADアカウントは、いずれもMicrosoftのクラウドサービスにユーザIDとパスワードを登録しますが、Microsoftアカウントはメールアドレスさえあれば誰でも登録できるのに対し、Azure ADアカウントは組織単位で管理画面からユーザIDとパスワードを登録する必要があります。

Azure(アジュール)とは、Microsoftが提供するクラウドサービス群の名前です(Microsoft Azure)。Azure ADとは、Microsoft Azure Active Directory の略ですが、先述したActive Directoryアカウントとは別のものなので、混同しないようにしなければなりません。「Azure AD」と略称で呼んだ方が混乱しなくて良いです。

Azure ADに対して、Active Directoryアカウントを「オンプレミスのActive Directory」と呼ぶ場合もあります。「オンプレミス」は「クラウド」の対義語に近い言葉で、「構内で」「店内で」を語源としています。

Micorsoftアカウントは、Microsoftアカウント Webサイトから登録できます。
Azure ADアカウントは、Microsoft Azure Webサイトから登録できます。
Azure ADには、フリープランと有償プランがあります。
Microsoft 365(旧 Office 365)を利用している場合には、Azure ADにユーザ情報を登録しているはずです。
Azure ADアカウントでPCにログインするには、Windows10 Pro以上が必要です。

Mirosoftアカウントの登録画面

Azure ADの管理画面

ローカルアカウントとActive Directoryアカウント

ローカルアカウントとActive Directoryアカウントは、いずれも自社が保有するPCにユーザIDとパスワードを登録します。
ローカルアカウントは各PCにユーザIDとパスワードを登録するのに対し、Active DirectoryアカウントはサーバPCにユーザIDとパスワードを登録します。
従って、Active Directoryを利用するには、サーバOSであるWindows Serverが必要です。クライアント側はWindows10 Pro以上であることが必要です。

このローカルアカウントとActive Directoryアカウントの関係について、以前は「ワークグループ」「ドメイン」と呼んでいました。
サーバOSを利用するメリットの1つとして、Active Directoryに相当するドメイン管理が可能になることが挙げられます。
ドメインとは領域を意味する言葉です。ここでいうドメインとは、インターネット上のドメインとは若干意味が異なります。
会社などの組織におけるネットワークの一部を「ドメイン」と呼び、その範囲であれば一度のログインで複数サーバへアクセスすることが可能になります。

ローカルアカウントは、小規模の会社ネットワークにおいては非常に扱いやすいのですが、Windows10 Homeでは登録しにくくなりました。
Windows10 バージョン1909(2019年11月12日公開)以降のHomeエディションでは、セットアップ時にMicrosoftアカウントへの登録を必ず要求され、ローカルアカウントでのセットアップができなくなったのです。
現時点(2020年8月28日)における対策としては、ネットワークを切断した状態でセットアップを行うか、もしくはMicrosoftアカウントで一旦セットアップを行った後でローカルアカウントに切り替える必要があります。

セットアップ時のデフォルト

「代わりにドメインに参加する」を選択した後

Active Directoryアカウントの登録画面
(Windows Server)

Windows10セットアップ時の表現は非常に分かりにくいです。
「Microsoftアカウントでサインイン」と表示される画面の左下に「代わりにドメインに参加する」と表示されていますが、これを選択するとローカルアカウントの登録ができます。
「代わりにドメインに参加する」は、Windows10のバージョンによっては「オフラインアカウント」と表示されます。
この左下の選択肢は、バージョン1909以降のWindows10 Homeでは表示されません。

「ドメインに参加」という表現をしていますが、Active Directoryドメインのアカウントが入力できるわけではなく、セットアップ時に一度ローカルアカウントを登録する必要があるようです。
「オフラインアカウント」=「ローカルアカウント」です。
「このPCを使うのはだれですか?」=「ローカルアカウントのユーザIDを登録してください」ということだと思います。

次ページで、このMicrosoft独特の言い回しと考え方をもう少し掘り下げてみます。