パッケージソフト導入にありがちなシステムに業務を合わせるための妥協をあまりしなくて済んだ。
大型モニタによるオフィスサイネージで納期管理を見える化。
営業から経理まで、数字以外の情報もきれいにつながった。
販売管理システム「販売悟空」
株式会社プロキオン 様
カメラや医療機器、コネクタなどの微細・精密な試作部品製作会社。
着実に実績を重ね取引先を拡大していく中で、事務作業が増大していった。
Excelで作った自前の仕組みの中ではどうしても発生してしまう手書きや転記作業に課題を感じ、販売悟空の導入により事務作業の大幅削減を実現した。
株式会社プロキオン 営業部 須貝和樹様
導入の背景:独特なフローへの対応
・堅実に取引先を拡大
-大手メーカーや有名大学と直接取引されていて、簡単にできることではないですね。
「特別なことはやっていないんですよ。元々パーツメーカーとの取引が多かったのですが、製品メーカーへ取引を拡大したいと思っていて、ISO14001やISO13485などの認証取得には力を入れてきました。やっていくうちに信用がつながって取引先が増えていきました。取引先内部でも評価が上がり、任される仕事の範囲を拡げていただいています。」(伊藤社長)
-仕入先は長い付き合いのところが多いのですか。
「創業当時から付き合っているところが多いです。モノづくりは”軽・薄・短・小”から”微軽・微薄・微小”に移り変わっています。最初は『そんなのできないよ』と言っていたものでも、仕入先と一緒に努力して今はできるようになっています。無理難題を一緒にやってくれるところと取引が続きますね。ありがたいことに設備や社員教育の面でも弊社に協力していただいています。」(伊藤社長)
-見積依頼への回答24時間以内はすごいですね。
「製作においては、他社なら半月~1か月かかるところをウチなら1~2週間ぐらいでできる場合もあります。お客様が自分たちで手配する場合、金属切削、樹脂切削、板金、熱処理などの加工工程について、それぞれ仕入先を決めて発注する必要がありますが、弊社に依頼いただければ手間いらずということです。ウチは小回りが利きます。特注品を毎日作っているわけですから、当然ノウハウもあります。」(営業部 須貝様)
同じものを繰り返し生産する会社であれば、生産効率や原価低減、在庫の管理などがシステム化の課題となるが、試作となるとシステムに要求すべきことが全く異なる。案件毎に異なる生産情報の管理、ノウハウのデータベース化、仕入先との細やかな連携など、生きた情報をスピーディーに入力・出力する要件だ。
販売管理という面では、伝票処理の事務効率向上だけではなく、外出先の営業担当者への情報提供や、事務スタッフとの連携支援をスムーズに行いたい。
それらを備えたパッケージソフトがあれば良いが、なかなか見つからなかったようだ。
・あたり前のことに時間(人件費)をつぎ込んでいる時代ではない
システム導入前は、ホワイトボードに付箋で案件情報を貼って見える化したり、得意先独自の検収通知に対応するために元帳を工夫して使ったり、自社に合うように業務を最適化していた。
「ルーティン化してしまうと疑問に思わなくなってしまうんです。1案件につき5分で終わる仕事でも、6案件あれば30分かかってしまう。どんなに効率良く作業できるようになっても、途中で電話を受けたりすると効率が落ちてしまう。それを年間通して考えるとすごいコストですよね。今は当たり前のことに時間(人件費)をつぎ込む時代ではないと思うんです。その浮いた時間でさらなる業務改善や営業をした方がいい。」(須貝様)
単なるパッケージソフトの導入を考えるならば、自社独自のやり方については手書きのまま残してシステムの適用範囲から除外したり、業務をシステムに合わせるような妥協をするところだ。だが情報としては繋がっているし、システムに合わせるために仕事が増えたり自社の良さが損なわれては本末転倒になる。システムの導入目的はあくまでも業務改善だ。
・イメージはあったが、時間をかけて検討
みんな新しいものに興味を持つ組織風土で、システム化の話はだいぶ前からあったようだ。
須貝様は自分一人で突っ走らないように気を付けながら、時間をかけて話し合ったという。
「最初は(月あたり)2ページだった帳簿が、得意先が増えていくにつれて10~15ページになって、もう限界でした。あれもこれもぜ~んぶつながる、夢のようなものがあったらいいのにね。と話していたんです。」(業務部 加世田様)
実は、パッケージソフトの導入も一度検討していた。
「業種特化したパッケージソフトを期間限定で借用しました。基本部分がパッケージ化されていて、ユーザ自身がカスタマイズできるというものでしたが、使用感が全然分からない。設定は難しいしエラーが出たら何をしていいのか分からない。営業担当者から連絡がきて『どうでしたか?』と言われても何も答えることができず、しばらくは『システムいいや』と思いました。」(須貝様)
・独特なフローへの対応が課題
「Excelで作った仕組みを外注することも考えましたが、Excelだと営業部門の業務だけしか繋がらなく、経理部門まで連携して効率化することができません。結局、業務にシステムを合わせてくれるところを探しました。」(須貝様)
導入の決め手:寄り添ってくれる安心感
・ユーザインタフェース
「販売悟空のデモを見たとき『これだ』と思いました。」(須貝様)
販売悟空は、開発フレームワークとしてWPF(Windows Presentation Foundation)を採用している。Windowsアプリの開発に広く使われているWindows Formsと比べて、GUIの表現力が豊かである。見やすさと操作性が印象的だったようだ。
ホワイトボードを使った案件の見える化については、Webサーバを立ち上げて大型モニタに映しましょうということになった。
いわゆるオフィスサイネージである。通信インフラや液晶ディスプレイの低価格化に伴い、商業施設や公共空間などではデジタルサイネージをよく見かけるようになったが、オフィス内での普及はまだまだこれからだ。
技術的にはさほど難しくない。納期管理表を表示するだけであれば、アクセスが集中する心配もないため、DBサーバと同じマシンをWebサーバにしましょうということになった。セットアップや管理が簡単なWindows標準のWebサーバであるIIS(Internet Information Services)を採用した。販売悟空のデータベースが既に存在するため、プログラムを2本追加するだけで実現できる。(データの取り出しと表示)HTML/CSS/JavaScriptといった、インターネット上では当たり前になっている技術を利用するので、表現の選択肢は無限に考えられる。付箋の色による管理をそのまま実現できる。
他のソフトウェア会社と比較検討していく中で、案件管理のサイネージも検討項目に追加した。
・ものづくり企業として付加価値を重視
「私たちはものづくり企業なので、付加価値が重要だと考えています。ただ安いだけでは決め手になりませんでした。」(加世田様)「システムを初めて導入する人は金額に目がいってしまいがちだと思います。もちろん金額も大事ですが、中身が大切です。カスタマイズも視野に入れた方がいい。」(須貝様)
良いものを作りたいという姿勢は売る側の立場でも買う側の立場でも変わらない。ソフトウェア会社との打ち合わせを進めていくに従って、細かい要求を出していき、その要求にどこまで応えてくれるのかが選定のポイントになっていった。
・寄り添ってくれる安心感
「(システムのような)よく分からないものをやる方にとっては、寄り添ってもらわないとパニックになります。要求を聞き入れてもらえないと、今後の付き合いでも出て来るのかな?と思います。」(加世田様)
ソフトウェア会社を決定し、プロジェクトがスタートすれば、さらに具体的な打ち合わせが増えていくことが予想される。当然、技術的に困難なものや、矛盾していることが出て来る場合もある。その際には、ユーザとベンダの話し合いが必要になるが、前提として相互の信頼関係が必要だ。無理難題を言い過ぎてもいけないが、遠慮して言わなかったり、任せっきりにしてもいけない。試作をやっているだけあって、そのあたりのバランス感覚が鋭い。
苦労した点:情報の出口を考える
・もっと簡単なものだと思っていた
「今回はいろんなことを学ばせていただきました。実は、もっとスッと入れるものだと思っていました。データがサーッと流れて、パパパッと帳票が出て、ポチッと押して、あー終わった。みたいな(笑)」(須貝様)
・メニューの改善
「メニュー画面を分かりやすくシンプルにしてもらってから入りやすくなりました。」(須貝様)
システム化をするにあたって、今までと仕事の順序を入れ替えなければならない場合が出て来る。そうすることによって転記や二重管理が減っていくのだが、画面の名前を見ただけでは慣れるまで戸惑う。提案書にあったシステムフローをメニュー画面に埋め込み、頻繁に使う画面以外は画面の端に配置した。ボタンの大きさにも変化を付け、実務担当者を主役としたメニュー画面になった。オペレーションが複雑になる業務パターンについては、ボタンを押すと説明が出るようにした。
「ISOでも同じようなことをしています。ISOの文書は文字が多くて読みたくなくなるんですが、なるべくフローにするようにしています。」(須貝様)
・出口を気にしながら入り口のことを考える
販売悟空には、得意先を登録する「得意先メンテナンス」という画面がある。得意先メンテナンス画面自体は販売管理システムならば大抵あるが、実は「得意先」の解釈には何通りもの考え方があり、それぞれの考え方にメリットとデメリットがある。カスタマイズによってデメリットを解消したり、運用でカバーする場合もある。
大手メーカーと取引するとよくあることだが、得意先の「会社」よりも細かい「事業部」「工場」「部門」といった単位でビジネスを行う場合がある。これらの単位のうち、いずれを得意先として登録してもシステムを動かすことはできる。
当初、営業部門の実態に合わせて「納品先」単位で得意先登録した。データの入り口が見積や受注といった営業部門の業務になるため、考えやすかったからだ。ところが、得意先から検収書が届いた際に、単位が異なるため突き合わせが困難だった。社内で話し合い、5つの納品先について、検収先毎に3つに集約して得意先登録し直した。この点については、ソフトウェアベンダとしてコンサルテーション不足の反省材料でもある。
「営業部門は入り口から入って楽でしたが、経理部門に寄り添えませんでした。入り口は勝手に決められるのでやり過ぎちゃう。あれやりたい、これやりたいはすぐに言えるのですが…。」(須貝様)
・実務を一通り知っている人がいると楽
「今は数字が(実態と)違っているときに、紐解いていくとどこが原因なのかが分かるようになりました。プロジェクトの終盤で、原因調査を加世田に任せました。ウチは営業と検収の担当者が分かれていますが、彼女は仕事の中身も分かって、事務処理も分かっていたためです。期末で忙しい中、無理にお願いしてやってもらいました。こういう人が一人いるとシステム導入は楽ですね。」(須貝様)
導入の成果:加工先の動きがひと目で分かる
・現品票/直送指示書/発注番号の自動採番
「現品票や直送指示書が自動で作られるのでメチャクチャ楽になりました。書かなくていいので。以前は、翌日FAXするために夜段取りしていましたから。弊社のルールに合わせて発注番号を自動採番するようにしてもらったのも良かったです。台帳を付ける必要が無くなりました。」(須貝様)
・納期管理/図面管理
「納期の中で加工先がどういう動きをしているのか、ひと目でわかるようになりました。加工・処理など複数工程にわたるものについて、状況に応じて直送に切り替えて指示することができます。熱処理・材質など好きなように入れられるのもいいですね。販売悟空は数字以外のことも管理できるのが魅力です。図面をパッと出せるのも便利です。」(須貝様)
・このままで終わりじゃない安心感 ・・・ ルンバ+食洗機+アレクサ?!
「これから合理化できて、ムダが無くなっていくと思うとワクワクします。システムを導入して良かった。このままで終わりじゃない安心感があります。ルンバと食洗機とアレクサを同時に手に入れたような感じです。ルンバを使うと、その浮いた時間を他の家事や子供のことに使えますよね。家でもそんなことを良く考えます。改善が好きなんです。」(須貝様)
・デジタル化のきっかけがシステム
「製造業はまだまだ紙文化が残っています。デジタル化のきっかけがシステムだと思うんです。PDF(を編集できるソフト)を使ったペーパレス化も進めて来ました。もちろん、何でも電子化すれば良いというわけではありませんが、ハンコの問題や自動FAXなど、順次取り組んでいきたいと思っています。」(須貝様)
インタビューを終えて
プロキオン様は何といっても会社の雰囲気が明るい!
忙しい中でも、ほほ笑ましい冗談を交わしながら仕事をしていて、毎回訪問するのが楽しみです。
お願いをされるとなぜか言う事をききたくなる、不思議な魅力がある人たちですが、今回のインタビューを通して、その理由が少し分かったような気がします。
微細な部品を取り扱う、きめ細かな気づかいが、いくつもの仕入先を束ねてお客様に評価されている理由なのかもしれません。
オススメの一言
「販売悟空は晴れて弊社の社員になりました。名刺こそ作ってないですが(笑)」
*社員一人入れるんだったら販売悟空を導入をオススメします!それくらい活躍してくれています。(岩下様)
会社名 | 株式会社プロキオン |
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代表取締役 | 伊藤 功 |
業種 | 微細・精密試作部品製造 |
所在地 | 東京都目黒区目黒本町3-18-5 |
電話番号 | 03-5721-6688 |
URL | https://www.procyon.cc/index.html |
株式会社プロキオンは小ロット、短納期対応の試作部品製作会社です。
全てのプロセスにおいて短納期に対応できるような体制が整っています。最新鋭の設備で、通常では諦めてしまいそうな微細、精密部品を加工します。また製造プロセスの合理化を提案し、結果的に納期短縮やコスト削減を実現しています。