業務システムを新規に導入する際に、クラウドかオンプレミスかをパッケージソフト選定の条件に挙げる企業が増えてきています。
この「クラウド」という言葉は非常に抽象的で、ビジネス上の会話の中でお互いに言葉として使っていても、人によって意味が異なる場合があります。
本記事では、システム導入の際に「クラウド」という言葉が使われることを想定して、その意味を解説していきます。

 2020年10月02日 公開  2020年10月13日 更新

クラウドの定義

米国国立標準技術研究所(NIST)は「クラウドコンピューティングの概要と推奨事項」の中で以下のように述べています。

クラウドコンピューティングを一般的な用語で表そうとする試みは、問題をはらんできた。なぜならば、クラウドコンピューティングは単一の種類のシステムではなく、クラウドコンピューティングを支える技術、可能な構成、サービスモデル、及び実装モデルまで、その各々について広がりを持つからである。

このように、「クラウド」という言葉を厳密に定義しようとすると難しくなるので、本記事では、業務システムを導入するにあたって必要な概念について、なるべく簡単に、広く一般的に使われている言葉を使って説明を試みます。

2つの分類(実装とサービス)

「クラウド」の説明としてよく見かけるのが、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」という分類です。
これは、ITインフラを誰が所有するか、セキュリティの境界をどこに置くかなどの実装面による分類で、業務システムを導入するためにクラウドを利用する方は、あまり意識しないようが良いかもしれません。

もうひとつは、SaaS/PaaS/IaaSなどの分類です。
これはサービスのレイヤー(階層)による分類で、業務システムを導入する際には非常に重要な意味を持ちます。

前者は「クラウドコンピューティング」の分類、後者は「クラウドサービス」の分類だと考えると分かりやすいかもしれません。

広義のクラウドサービスと狭義のクラウドサービス

クラウドコンピューティングの実装については次章で簡単に触れますが、まずクラウドサービスについて説明します。

広義のクラウドサービス

「クラウド(Cloud)」とは「雲」を表す英語で、インターネット上(雲の向こう)にあるコンピュータ資源を何らかの形でサービスとして利用すること、そしてそのコンピュータ資源がどこにあるのかについて、利用者側で意識しないものが広義のクラウドサービスであるとここでは定義します。

狭義のクラウドサービス

狭義のクラウドサービスとして、一般的に認識されていることが多いのは以下の内容だと考えます。
・対象とするのは、アプリケーション、ネットワーク、サーバ、ストレージなど
・いつでも利用を開始・停止できる
・いつでも拡張できる
・バックアップを自動的に取ってくれる仕組みまたはサービスがある
・利用量に応じて課金される
これらに該当する有名なサービスとして、大手3社のパブリッククラウドサービス(後述)が挙げられます。
本記事では、このようなサービスを狭義のクラウドサービスとして定義します。

プライベートクラウドとパブリッククラウド(実装モデルによる分類)

プライベートクラウドとパブリッククラウドの境目は非常に分かりにくいです(クラウドコンピューティングの分類)。
ここでは簡単に触れますが、先述した通り、深く理解する必要はありません。

プライベートクラウドには、ITインフラを自社が所有するパターン(オンサイトプライベートクラウド)と、ITインフラを外部委託するパターン(外部委託型プライベートクラウド)があります。

パブリッククラウドは、公衆インターネット上で誰でも利用できるような実装形態を表します。
パブリックと言っても、利用者のデータが外部に公開されることを表しているわけではありません。
またパブリッククラウドを使って仮想的な社内専用ITインフラを借りることも可能です(プライベートな使い方)。

パブリッククラウドで代表的なのは以下に挙げる大手3社のサービスです。
・Amazon AWS(通称:AWS)
・Microsoft Azure(通称:Azure)
・Google Cloud Platform(通称:GCP)