業務システムを導入するにあたって、最も大切で、かつ最も難しいのがシステム化の企画段階だといえます。
弊社においても、今まで数多くのシステム導入に関する問い合わせや相談を受けて来ましたが、企画段階でつまづいているケースをよく見かけます。

特に初めて業務システムを導入する場合においては、システムという得体のしれない、抽象的な概念をどのように捉えるのかが非常に大切です。

本記事では、筆者が見聞きしたことや、一般的に言われていることをもとに、システム企画段階において大切と考えられることを解説していきます。

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システムとは

システムとは、広辞苑によると「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」とあります。また、有機的とは、「有機体のように、多くの部分が集まって一個のものを作り、その各部分の間に緊密な統一があって、部分と全体とが必然的関係を有しているさま。」とあります。有機体とは生物を表しており、人体は代表的なシステムです。

システムの概念を図で表すと以下のようになります。

人体でいえば、複数の細胞が集まり臓器を構成し、複数の臓器が集まり一人の人間を構成します。そしてそれぞれの要素においてまとまった機能を発揮します。
会社組織もシステムであり、本記事で解説するのも「システムとしての会社組織をどうするか」ということになります。

システムを導入する/システム化するとは

会社組織もシステムですから、新規事業を立ち上げる場合を除き、既にシステムが存在していることになります。
システムを導入するとは、情報技術を使って会社組織の改善を行うということです。会社組織における情報を人体における血液に例えると、滞りがちな血液をサラサラにすることで、必要な養分が臓器や筋肉など体の隅々まで行きわたるようにするといったところでしょうか。
システム化するとは、いままでバラバラに存在していた要素を緊密に連携させ、新しい働きをさせることであり、業務改善することだといえます。

筆者がシステム化のお手伝いをしている中で、特に成功したなと感じるのは、言葉にならないまでも、課題が明確でかつ業務改善の一環として問い合わせいただいた場合です。
その言葉にならない課題を引き出すのが、システムエンジニアの腕の見せ所だといえます。

逆に、うまくいかなそうだと感じるのは、目的が定まっていない中で、パッケージソフトの機能を比較して優劣をつけようとしている場合です。
機能の多さが足かせになることもありますし、必ずしも導入後のシステムが導入前のシステムよりも改善されているとは限りません。

大切なのは、情報のインプットとアウトプットの組み合わせを最適化することなのです。

システムを企画するとは

企画とは、計画を立てることであり、一種の設計行為といえます。
設計とは、どのようなものを作るのかを考案し、その姿を具体的に明示していく作業です。
システムを企画するとは、改善後の会社組織を思い描き、表現していくことであるので、その組織のトップがなんらかの形で必ず関与しなければなりません。

人体に例えると、血液がサラサラになり体の隅々まで養分が行きわたることによって、その会社が本来持っている働きを十分に発揮し、今まで以上に能力を向上させ活躍する姿をトップが思い描き、プロジェクトリーダーを始めとするプロジェクトメンバーがその思いを汲み取り具現化していくわけです。

システムを買うとは

システムを買ってくることはできるのでしょうか。
ここでいう「システム」とは「パッケージソフト」を意味しますが、業務パッケージソフトの場合は、複数のソフトが連携して動作するのでシステムと言うことが言えます。
ですが、それを自分の会社組織に当てはめたときに、会社組織というシステムが正しく機能するとは限りません。
通常は、ソフトウェア会社がパッケージソフトと一緒に提供する「ソリューション(問題解決)サービス」や「カスタマイズサービス」を検討することになるでしょう。

パッケージソフトの価値

競争社会である以上、突き詰めていけば会社組織のシステムは、すべての会社で異なるでしょう。
1個数十円の部品を大量に生産している会社と、1個数千万円の機械を生産している会社とでは、例え年商規模が同じぐらいだとしても、最適なシステムの姿は全く異なります。
同じように、得意先が数社の会社と、得意先が数百社の会社とでは、最適なシステムの姿は異なります。

しかし、それらの会社毎に異なる仕組みすべてをコンピュータシステムとして実現するかどうかは別の話です。
IT技術を使えば情報の伝達・演算・蓄積・検索の能力が格段に向上しますが、対象になるのは定型化できる業務に限られます。
定型化できるということは、設計時点で業務の流れを想定できるということです。コンピュータシステムは、設計者が想定していないことには弱いのです。
定型化しようとしてみて初めて、定型化できない自社の強みに気づくかもしれません。
すべてをコンピュータシステムにしてしまうのではなく、また反対にすべてを職人技だと決め付けるのでもなく、バランスを取ることが大切です。

また、定型化できる業務をすべて一から開発する必要はありません。
そこでパッケージソフトを適用することになります。


理想的なパッケージソフトとは、多くの会社で共通する部分について、そのまま利用できるもの、そして特定の会社でのみ必要になる機能を実装していない、もしくは必要の無い機能を利用者が意識しなくてよいような構造になっているものだと考えます。

大手企業がパッケージソフトを導入する場合、パッケージソフトを導入することによって、今まで使っていた独自のシステムよりも使い勝手が悪くて手作業が増えるデメリットがある反面、システムの維持費が大幅に削減できるといった効果を狙うことが多いようです。

中小企業においては、パッケージソフトを導入する意義が異なるでしょう。
パッケージソフトを適用しようとしている業務は、他の会社と同じ仕組みで良いのか?ということを一度考えてみる必要があります。
情報戦略という観点からすると、周辺部分のカスタマイズは視野に入れておくべきです。

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